こんなの私だけじゃないんだろうって思ってても、達者な人には敵わない。
「つーかサッカー興味あるんじゃん」
チラッと私の抱える本を見て、また斗真くんはニヤリと笑った。
どこか得意げで、きっと私の気持ちもバレてるんじゃないかって。
「でも、そろそろ季節的に日焼けが心配だから…」
「ベンチまで来てもいいぜ。屋根ついてるし」
「そんなことしたら他の人たちの目も気になるし…」
バンっ!
ひゃぁっ!
もう一本の手も壁に押し付けられて、私は斗真くんの腕の間で立ち往生。
オロオロする私に、斗真くんはさらに詰め寄ってくる。
「見に来るって言うまでここから逃がさねぇからな」
えぇ~、そんなぁ…
近づく視線。
降り掛かる息。
もう…無理かも。
「行き、ま…行きますっ!」

