それからしばらくは、なんとなく斗真くんと顔を合わせる気がしなくて、私は放課後のグラウンドへも顔を出さなくなってた。
ナオちゃんの話が原因な訳でもないし、斗真くんの行動に文句があったわけでもない。
ただ私の気持ちが、不安定になってただけ。
話しかけられるのは当然嬉しいし、仲良くだってなりたい。
でもそれに対する自分の反応がわからなくて、ぎくしゃくする変な姿ばかり見せてしまうのが嫌だったんだ。
小説には願望がこもってるけど、そこまでじゃなくても別にいいし。
どうせ斗真くんみたいな人と私が並んで歩いたって、きっと不釣り合いなカップルになっちゃうから。
だからせめて、恋に不器用じゃない乙女になれたらなって…
「はぁー…、載ってない」
グラウンドに行かなくなってからは、この図書室が私の居場所。
恋愛の参考になる本を探しても、そこには今の私のヒントになるようなものはどこにもなかった。

