俺は温かい気持ちを抱きながら、回したノブを引き、ドアを開いた。 途端に視界がグニャリと回った。 横にいる彼女の顔もわからなくなった。 そして、俺はゆっくりと目を瞑った。 ―― カシャ…カシャン… ……遠くで、何かの音がする。 ツン…と鼻をつく匂いが、どこか懐かしい。 この匂いは、何だっけ?