「ねぇ、金森君。今度は私が鬼になっていい?」 そう言うと、彼女は素敵な笑顔を俺に見せた。 その笑顔は小学生のあどけなさの残る吉沢 ユウコではなく、大人の表情をした吉沢 ユウコに見えた。 「戻ってからも鬼ごっこのするの!?」 さすがに三十台のオヤジに鬼ごっこはキツい。 「違うよ。そうじゃなくて……」 彼女は繋いだ手を思い切り握った。 顔を少し紅くしながら。