「お母さん……だけじゃなくて、お父さんも私に生きて欲しいって」 そして、彼女は俺の手をギュッと握り返し…… 「戻ろう」 と言い、笑顔を見せてくれた。 俺には、彼女のお母さんの声もお父さんの声も聞こえなかったが、彼女が聞いたと言うなら、そうなんだろう。 ―― チリン… ドアの向こうから、まるで俺の思いに応えたように鈴の音が響いた。