「……お母さん」






彼女は首から掛かっている鈴を手に取り、それを見つめながらそう呟いた。






「それ、お母さんがくれたの?」




「ん……」






彼女はそれだけを発した。






「じゃあきっと神様じゃなく、お母さんが生きて欲しいから俺を呼んだんだね」






こんな体験をしなきゃ、そんな事、考えもしなかっただろう。




死んだ人が守ってくれるなんて、患者を勇気付けるために言う事はあっても、本気で信じていたわけではなかった。