……? 彼女は、俺が近づいている事に、気が付いていないようだった。 足音が聞こえないわけがないし、目の端に姿が入らないわけもない。 なのに、吉沢 ユウコはピクリ…とも動くことはなく、ある一室を眺めていた。 「捕まえた」 俺は、とにかく彼女の腕を掴み、そう告げた。 彼女はその言葉に弾かれたように、振り向いた。 その瞳には涙が浮かんでいた。