その子はいつも首から鍵を下げていた。 両親が共働きだからと、鍵を渡されていたらしい。 「もう、大丈夫だから……ユウ…コ」 俺はそう言って立ち上がり、ユウコに背を向けた。 髪が長く、大人っぽい雰囲気のユウコ。 ……急患の顔だった。 現実とも夢とも言えない、あの時の患者。 意識がないはずのその患者が見せた笑顔は、ユウコの顔……そのものだった。