音のした方へとレセルを先頭に向かうと、
住民達が驚愕するような光景があった。
閉じられた水門の前にある鉄の柵が無残に散らかっていた。

「何て威力だ…」

執事が呟くと住人達も息を飲む。

「お…汚染水魚は奥の方でしょうか?」

隣に居た男が足首までしか水のない下を恐々としながら見て声を震わせる。
トンネルのような先に続く道は水が黒く濁り、妙な匂いがしていた。
その間にレセルは怯えた様子も見せず梯子に近づく。

「行って来る」

レセルがそう言うと住人達や執事は安堵して口々に言う。

「良かった~」

「レセル様が退治してくれるのなら安心ですな」

「この街にレセル様が居てくれて良かったぜ」

「では、後はお願いします」

その言葉を聞いた後、レセルは梯子に向かい住人達は立ち去ろうとする。
エリサとナナは何も言わず住人達を見送っているのを見て、
もう我慢の出来なくなったロキスは素早くレセルの腕を掴んで歩みを止めた。

「!」

掴まれた事に眼を丸くして、レセルはロキスを黙って見つめる。
立ち去ろうとした住人達も何をしているんだという顔だ。