何だか可哀想に感じたロキスが、声をかけようとするとエリサが後ろから怒鳴った。

「ハッキリ言って、あんた達は迷惑なの!どうせ知名度が目当てなんでしょう」

英雄王と名高いレセルの部下ともなれば、勇者として格が上がるのは目に見えいてる。
おそらく、そういう輩が多かったのだろう。エリサの目に怒りが滲み出ていた。
隣に座るレセルも感じている事は同じなのか
エリサの言葉に反論せず、どこか寂しげな顔だ。
過去に何かあったのだろうかとロキスが首を傾げていると、
ローズが腰に手を当てて言う。

「な、生意気な小娘ねっ!ロミオ!やっておしまい!」

「はい。姉さん」

少し幼さの残る若者・ロミオが銃を構え、姉のローズに従い引き金を引く。

「!」

いくらエリサが格闘の達人でも銃の弾が数発も襲って来ては避けられない。
エリサが多少の傷を覚悟して構えた時、ロキスが前に出て防御シールドを張った。

「え…」
信じられないといった表情でエリサはロキスの背中を見つめる。

「お前らな~…攻撃するって事は図星を指されましたって言っている様なものだぞ」
ロキスはローズとロミオに言い、今度はエリサの方にも振り向き説教した。

「それと、言葉は武器にもなる。その一言で相手を再起不能にする事もあるんだぞ。
 言葉の持つ魔力をちゃんと理解して発言しろよ?分かったな?」

「だ、だって…」

「返事は?」

「う…わ、分かったわよ」

「よしっ」

素直に謝るエリサの頭を軽く撫でたロキスは、
レセルが少し驚いた顔をして自分を見ているのに気が付く。

「な、何だよ?どうかしたのか?」

初めて見る顔にロキスが動揺して聞くと、レセルは小さく微笑み言葉を返す。

「本当に魔王なのかなと思って疑惑の念が湧いただけだよ」

「あのな~っ」

ジリリッ

まだ疑うかとロキスが脱力した時、後ろの方から大きな音が発生した。