「レセル様~!またまた客人ですよ~」

げしっ

ナナが倒れているロキスを気付いているのかいないのか、
思いっきり踏んでレセルに声をかける。

「ナナ~お前、俺の頭に乗っ…ぐおっ!」

ずしっ

「レセル様!無事ですか!城を攻めて来たという魔王はどこに!」

開け放たれた扉の先から剣を持った男が現れて、ロキスを踏み台に叫ぶ。

「英雄のレセル様ですもの。もう倒されたのよ~」

「そうですね…」

男の後ろから二人の男女が現れて口々に言う。
その来訪者三人を静かに見つめ、レセルは人差し指を下に向ける。

「…魔王なら、君が踏んでるよ」

「え…?」

踏み台にしている男は、ゆっくりと下に視線を向けてロキスを確認。
だが、慌てて飛び退くことはせず、男は腰に手を当てて勝利のポーズになった。

「や、やったぞ~!魔王を!魔王を倒したぞ~!」

「…って違うだろ!さっさと退け~!」

調子に乗っている男に怒りを感じ、ロキスは勢い良く起き上がり跳ね飛ばす。