これは昔々のその昔の物語。
国の大半を占める程の人々を救い、英雄になった青年がいた。
青年は十五歳にも関わらず、民衆から強さと栄誉を称えられ城を手に入れる。
そんなある日、魔王と名乗る男が城を襲撃してきた。

「俺は魔王だ!!
 お前が英雄レセル・ラートだな!」

「そうだよ」

王座に座る青年に黒髪で長身の魔王は勝ち誇ったように言ったが、城を襲撃しているというのにレセルは少しも慌てた様子もなく魔王は反対に驚く。

「それで?
 君はこの城を襲って何がしたいわけ??」

「え…えっと…それは…」

冷ややかに問われて魔王は狼狽える。
だが、負けじと胸を張ってレセルに宣言した。

「も、もちろん!!世界征服だ!!」

魔王が言った数秒後、レセルは腕を組んで冷たく答える。

「言ってて恥ずかしくない?」

「う…ほっとけ!!」