「…みんな揃って、そんな反応したって面白くないよ?」


あたしは笑いながら、左右に手を振った。


「…ちょっと美鈴!」


突然、今まで黙っていた彩花が口を開いた。


「なぁに?」


「あんた、今年は彼氏いるでしょ!バレンタインなんだから、チョコはあげるつもりよね?」


「…楓君に?何で?」


「バレンタインデーっていうのは、女子から男子にチョコと一緒に気持ちを伝える日なのよ?まさか知らなかったの?」


「え!そうだったの?知らなかった~!」


「……彼氏、可哀想」


「「うんうん。」」


1人が口を開くと、一斉にみんなが頷いた。


…そうなんだぁ~。


楓君にチョコをねぇ~。


内緒で作ったら、楓君もビックリするかも…?


よし!頑張っちゃおっかなッ☆


あたしはニヤニヤと笑った後、気合いを入れるつもりでガッツポーズをした。


「…立川さん。アナタ、こんな所で何をしてるの?」


「…へっ?」


慌てて振り向くと、担任の先生が呆れた顔をしながら立っていた。


「…あれ?何で先生がここに?もう始まったの?」


キョロキョロ周りを見渡すと…


みんなは何もなかったのように、平然と席についていた。