どれくらい時間が経っただろう。


うっすらと見えるのは…?

知らない人。



ここは天国?



やっぱり私死んだんだ。



『…の…だ…』


なんか言ってる。



『あの…大丈夫ですか?』

男の人の声だ。



「…だれ…?」


手を伸ばす。


ぼやけていて見えない世界。


「あたし……。」


「急に倒れたから驚いたよ。」


隣には見知らぬ男性がいた。


「ごっ……。ごめんなさい」


急いで荷物をまとめ、その場を後にした。


まだ、少し胸が痛む。


「ねぇ!君!」


肩に手をかけてきた。


「イヤッッ!」


とっさに手を振りほどいてしまった。


男性は、驚いたようにこっちを見詰めていた。


「これ。落ちてたよ。携帯だから大事でしょ?」


「ありがとうございます。」


携帯を届けにきてくれたのに、酷い事をしてしまったと反省した。