楽屋に戻り、メイクを落とし帰り支度をする。
今日は疲れたなあ……
撮影が、というよりは撮影前後が…
ホントは分かってるんだよ?
彩ちゃんも言ってたけどさ…
こんなんじゃあたし一生友達も彼氏も出来ないよ……
………え、なに?
て、ことは一生をひとりで過ごすってこと!?
それはさすがに悲し過ぎるよ!
子どもはやっぱり欲しいし…
ひとりでなんて死にたくないっ!
……極端な話だけど…
頭を抱えていると、楽屋のドアをコンコンと叩く音が聞こえた。
「ひまちゃん、入るよー。」
奏くんだ。
「おつかれさまっ!」
なぜか興奮気味に楽屋に入ってくる奏くん。
そんなに出来がヨカッタのかな?
仕事後は大抵アツイんだけどさ…今日はやけにアツイ。
「あ、もう帰るよね?」
「ちょーっと待って!」
カバンを肩にかけたところで、奏くんが両手を突き出しストップをかけた。

