「泉……ねぇ、泉ってば!」




ハルの声が耳に入り、そこでようやく俺は走るのをやめた。




「…………どうしたの?何か変だよ…」




「……わりぃ。」




「何かあった…んだよね?あたしで良かったら話聞くけど…」






うつむく俺の顔をハルが覗き込んだ。



やっぱりハルは可愛いと思う。



とっくの昔に振られてるのに…




「ごめん…何でもない…」




「何でもないって…そんなわけないじゃん!変だよ…泉。最近…なんか変。」




「…そんなことねぇよ。マジで何でもないから…大丈夫。」





俺、バカじゃん。


自暴自棄になって

ヤケになって


ハルを連れ出して



何がしたいんだ。






ハルに背中を向け歩き出す。





「………ひまちゃん!」





その言葉に体が勝手に反応し、ピタリと足が止まった。








「もしかして…ひまちゃんが関係してるの?そうなんでしょ?泉は…ひまちゃんが好きなの?」




それは……………









「あ!ハルー!何してんのー!超探したんだけどーっ!」




ハルのほうに体を向けなおした瞬間、道路の反対側で大きく手を振るハルの友達の姿が見えた。




「…友達と一緒だったんだ。無理矢理連れてきて悪かったな。行けよ。」



「でも………」




「いいから……って俺が連れてきたんだよな…。本当、悪かった…じゃあ。」




「泉……っ!」