「好きなんだけど……」




相手が1歩ジワリと近付いたので、俺は同じタイミングで1歩後退りした…


が、



そこはもう壁で、これ以上近付いてこられたら俺はカニのように横へ逃げるしか道はない。



危険だ…



非常に危険だ…


経験上…わかる。



あぁ…俺の経験なんて思い出したくないことばっかだ…。




しかしコイツはなんでこんなに愛しそうな、まるでチワワでも見るような顔で俺を見てんだよ…



正気かお前は。


目を覚ませ。




「……あぁ……あの…黒川の気持ちはわかったんだけどさ……」



「……うん?」



「一応言っとくけど……俺………男だよ?」



黒川は、


黒川さんではなく、


黒川くんだ。



身長は俺より10センチ以上高くて、顔だってイケメン、スポーツ万能、女子にも人気がある。


黒川くん。


なんで俺に告白してんの。