「ひまりの中にある感情が、本当の恋か勘違いかは後々分かるんじゃない？だから今はあれやこれや難しいことは考えず泉サマに身を委ねる！一応、役作りの為にはなってるんでしょ？」



「う、うん…」




最近台本読んでると小春のセリフだったり気持ちに共感出来ることが多くなってきたんだよね…これも疑似恋愛のおかげ？




「あ、時間大丈夫？今日も待ち合わせしてるんでしょ？」





彩ちゃんが教室の時計を見て言った。





「あ！本当だ！ごめんね、話し聞いてもらってる途中なのに…」



「気にすんな！」



「ありがとう…じゃあまた明日ね♪」



「おうよっ。バイバーイ。」





慌てて教室を飛び出し裏門に向かう。




泉サマはすでに待ちくたびれている様子…




「ごめんなさいっ！遅くなっちゃった…」



「本当。おっせぇよ。」



「ご、ごめんなさい…」



「帰るぞ。」



「はい！」




泉サマは慣れたようにあたしの手を握って歩き出した。



毎日毎日泉サマと手を繋いでいるからか、手を繋ぐことに何の抵抗も感じなくなってきている。


毎日同じことを繰り返すとそれが当たり前になって、まるで生活の一部に感じてくるわけで…



きっとそれを“慣れ”っていうんだろうな。