「キスしたいと…思ったから?」



「…そう。お前が可愛いからキスしたくなった。」





俺っていつからこんな甘ったるいセリフをサラリと言えるようになったんだ。



なんでだかコイツには言いたくなるし、言えてしまう。




他の女子とは違うから。





この感覚………




懐かしい。







俺、




変かもしれない。






「あのさ、神…………」



「キスって!」




名前を呼びかけたとき、俺の言葉を遮るように突然神戸が顔をあげ、喋り出す。





「キスって………そんな軽い気持ちで……出来ちゃう…ものなんですか…。」






………………え?






「恋愛経験もないのに、偉そうに言うなよって思うかもしれないけど…あたしは………キスってお互い好きだからするものだと思うんです………大事なものだと思うんです。あたし……間違ってるのかな…。」




神戸の大きな目に涙がたまっていて、まばたきしたら落っこちてきそうだった。





「ご…ごめんなさい……あの…今日はありがとうございました。」




神戸はニコッと笑うと一礼し、足早にその場から駆け出していく。




ちょ…


ちょっと待てよ……




「神戸!」






ハッと我にかえり振り返ったときには、もうすでに神戸の姿は見えなくなっていた。




どうしよう…




俺………





神戸のこと







傷つけちゃった……?