学部の違う私たちが出会う機会なんてめったにない。 今でも、あの日のことを鮮明に覚えてる。 * * * * * 「Ich trinke Kaffee……えっとぉ……」 ドイツ語の教科書を必死に捲って調べていた時、 「ohne Milch und Zucker」 頭上から聞こえてきた声に、上を向いた。 「牛乳と砂糖いれないんでしょ?」 背の高い、雑誌の中から飛び出てきたような男の人がいた。 「あれ?それとも入れるの?」 「い、入れないと飲めません!」 「じゃあ、mit だね」