「おっ!来た!お疲れ」 笑顔で待っていた先輩に、お疲れさまですと挨拶をして回答用紙を渡した。 「100点じゃん!頑張ったな!」 そう言って頭を撫でる先輩に、堪えきれなくなった涙が溢れ出してきた。 「その試験、101点満点なんです」 紙を裏返し、ある問題を指差した。 冠詞を間違えていた。 英語でいえば“a”と“the”の違いのようなもの。 大学生になって試験で泣くなんて情けない。 「わかってたよ、満点じゃなかったの」 先輩の言葉に顔をあげた。