『きっと、向こうも悩んでるよ』


あさみんは、あたしの様子を窺うように、ポツリと言う。あたしは、「え?」と言って、あさみんの方を見るが、あさみんはその後も話を続けた。


『神城君、元気ないし。それにね、雅のこと目で追いかけてるの。いつ、話しかけようか、ってタイミング考えてるみたいで。雅、気づいてないみたいだけど』

「な、何よそれ……全然気づかなかった」

『雅も雅で、いーっつも考え事してるからね』


あさみんは、ふふっと笑って、自分のお弁当箱に入った卵焼きを箸でつかむのだった。


――龍が、あたしのこと見てたなんて……。