――龍 side



雅にあの事を聞かれたあの日。俺は1人で家に帰った。それも急ぎ足で。


――ガチャンッ


俺は自宅へ帰り、ドアを開け、ただいま、なんて言わずにリビングへと向かう。


「おい!蜜ッ!」


リビングへ入り真っ先に俺の目に入るのは、弟の蜜だった。蜜は、ソファに腰掛けながら形態をいじっていた。

蜜は携帯から目を離し、俺を見上げるように顔をこちらへと向ける。


『…何』

「何、じゃねぇよ!お前雅に何言ってんだよ」


俺は、勢いよく鞄を投げ捨てた。