「え、なに。遥翔、あいつのこと好きなの?」

『はぁ!?なんでそうなるんだよ!名前ぐらい知りたいだけじゃん』


少し冗談程度のつもりで、俺は遥翔に聞いてみたが、遥翔が必死に否定する態度に正直笑ってしまった。


『でも、少し……気になる、かも』


呟くようにそう言った遥翔は俺の隣に腰を下ろし、真剣な表情で俺を見てきた。俺は正直驚いた。いきなり、真剣なまなざしを向けてくるから。


『あ、さっきの飛行機雲、薄くなりかけてる!!』


真剣な表情をしたかと思うと、次はすぐに目線を空へと移す。さっき遥翔が言っていた飛行機雲の話のようだ。俺もそう言われ、目線を空へと移した。


「あ、交わってる……」


飛行機雲は1本ではなく、2本あって、交差するように青い空に浮かび上がっていた。