―蜜 side―


『先輩、いきなりどうしたの。蜜、先輩に何かしたの?』


龍の彼女が、屋上を出て行ったあと、遥翔が口を開いた。


「なんもしてねぇよ」

『でも、先輩また……』


遥翔は最後まで言わなかったが、きっと、泣きそうな顔をしていた、と言いたかったんだろう。俺にもほんの少しだけ、罪悪感が心に残っていた。


『あ、先輩の名前聞きそびれた』


話題を変えようと、遥翔が言う。