『気になる?』 神城蜜は、少し首を傾げて、龍に似た余裕の笑みをあたしに向けてくる。 ――彼はあたしに何が言いたいのだろうか。 不思議だ。漆黒のサラサラな細い髪が、春風に乗って流れる。あたしはその髪に見とれてしまう。それは、龍の髪質に似ていたから。 『峰崎先生は、俺と龍の幼馴染みだよ』 ゆっくりと動いた、神城蜜の口元にあたしは目を離さなかった。