疑問形で言葉を返してきたのは、三田遥翔だった。もちろん、あたしの手を引っ張ってきたのも、三田遥翔である。
『てか、なんであんなとこに居たの?』
後ろで座り込んで疲れた顔をしながら聞いてくるのは、神城蜜。
「あんたらサボりってわけね!」
『俺の質問に答えてねェし…』
「ほんといい度胸よね、初日からサボるとか」
『説教かよ、うるせぇ』
神城蜜の口の悪さは、本当に兄の龍にそっくりである。
『で、先輩はなんで授業中に廊下にいたんですか』
神城蜜は、わざと敬語にして、あたしに聞いてきた。その質問には答えたくないから、さっき無視したのに……。あたしは、答えることなく、黙り込む。
「…………」
『……わけありっぽいけど、言いたくないならいいよ。ほら、座れば?』
神城蜜にそう言われ、あたしは不満に思いながら床に座った。