あたしが声をあげた次の瞬間、その誰かに手で口を押さえられた。


――誰ッ?!


あたしは口を押さえられながらも、強い力で振り返る。振り返ると、すぐに見覚えのある顔。その奥にもう1人いて、そいつも見覚えアリ。

眉間にしわを寄せると、口を押さえていた少年はニッといたずらっ子のように、無邪気に笑い、あたしの手を引っ張った。


◆◆◆◆◆◆


『はぁ~…つっかれた~!』


あたしの手を引っ張っていた彼は、手を離すと、そう言って腕を上に伸ばした。

あたしが連れてこられたのは、屋上だった。


「ちょっと!何よいきなり!」

『先輩がそこにいたもので、つい?』


彼はくしゃっと笑って首を傾げる。


――どうして疑問形なのよ。