[キーンコーンカーンコーン]


――次の授業が始まる鐘が鳴った。


あたしはトイレに行くと言って、教室を出てから、まだ教室には戻っていなかった。1人静まり返った廊下で、立ち尽くしていた。


――今教室に戻っても、龍と顔を合わせたくないな。


そう思ったあたしは、足を自分の教室の方とは反対方向に動かした。


もう授業は始まっている。そんな中、廊下を歩く。今、先生に見つかったらやばいだろう。少しだけ、不安を感じながらもひたすら歩く。


そのとき、ツンっと肩を突然誰かに叩かれた。驚きのあまり、あたしは声をあげてしまう。


「ぎゃッ!」

『しっ!』