私を見て、ではない。

私の前の席の龍を見て、だった。



◆◆◆◆◆◆



『先生って可愛いよね!』


HRが終わると、あさみんはあたしの席に来てそう言う。だがあたしは、うまく反応できなかった。目の前にいる彼の姿をうかがってばかりいた。


『雅…聞いてる?』

「え?あ、うん」

『そう?さっきから神城君のことばっかり見てるじゃない』

「べ、別にそんなことないよ!」

『あ、今嘘ついたな~』


あさみんはそういうと、あたしの鼻のてっぺんを指でつついた。


――なぜ、先生は龍を見て驚いたのだろうか?知り合いだったの?


『雅、なんかあったの?』


あさみんの心配している声が耳に入ってきたが、あたしは反応できなかった。