『みやちゃん』
こそっと話しかけてきたのは、隣に座っているあんこちゃんだった。
「何よ?」
『あの子イケメンじゃない?』
あんこちゃんはそう言って、そのイケメンとやらを指さす。それを目で追おうとするあたしだったが、すぐに目をあんこちゃんに戻し、話しかける。
「……てかあんこちゃん、愁君いるんだからイケメン探しやめなさいよ」
『愁ちゃんはダーリンだから、それとこれとは別物なの』
「愁君泣くわよ、かわいそう」
呆れたあたしは、目線を真正面に移した。その横では、まだイケメン探しを続けているあんこちゃん。
『でもでも、今年もイケメン率高い!』
「あんこちゃん…」
あたしは、困ったようにため息をつく。
『ほら、あの子なんてさわやかイケメン!』
「……」
あたしは無言のままあんこちゃんの言う、さわやかイケメンの子に目を移す。


