――遥翔 side――



――キィッと静かに屋上の扉を閉める。俺は、そのままゆっくり階段を降りる。



『遥翔』



降りた先には、蜜が立っていた。



「なんだよ蜜、慰めに来た?」

『……うん』



冗談で言ったつもりの言葉に、蜜はうなづいた。そんな彼を目の前にして、胸にあった緊張が一気にほぐれた気がした。



「俺、振られちゃった」



改めて言葉にすると、自分がさらに悲しくなるのがわかった。その気持ちと同様に、目からじわっと温かい涙が出てくる。