――まるで少女漫画の世界じゃないの。


あたしの頭の中は、理解するのに時間がかかり、一瞬フリーズしてしまう。


『雅?おーい』

 
唖然とするあたしの顔の前で、手をブンブンと振るあさみん。あたしは我に返り、ハッとした。



「……なんかすごいわね、そんなことってあるのね」


あたしが、ふぅ、と息をつくと、あんこちゃんはすぐに話を続けた。



『そうなんだよみやちゃん!あるんだよ!でね、特に騒がれてたのが……』

「?」

『龍君!』

「龍?!」

『もうほんと大人気だったね。って、あれれれ?妬いてます?』


――イラッ


あんこちゃんの言葉と、わざとらしくニヤリと笑う表情に少しイラッとした。それでも、あたしは隠そうとする。


 
「別に」

『とか何とか言ってー?』

「うっさいわよ、あんこちゃん」

『わかりやす~い♪』