『先輩はよく怒ったり、泣いたり、笑ったりして感情が豊かな人で、先輩といるだけで、本当に楽しかった。先輩の隣にいられるってだけで、俺は幸せだった。俺が先輩を守るって思ってたのに、困らせちゃってますよね、すいません。先輩の隣にいるべき人は俺じゃないんですよね』


へらっと笑った彼は、何かを我慢しているように見えた。



「三田君、ごめんね。あたしは、三田君のこと好きだけど、それは恋愛対象としてではない。三田君といるときも、頭のどこかで龍のこと考えてた。本当にごめんなさい。都合のいい時だけ、三田君に甘えてた。ごめんなさい。それから、あたしのこと好きになってくれて、ありがとう……」

『先輩、それずるい。最後の最後に1つだけお願い聞いてもらえませんか?』

「何?」

『キス、してもいいですか』

「は?!?ダメよ!無理!それは却下!」

『いやだ』


そう言った彼は優しく笑って、あたしの腕をいきなり引っ張り、自分の胸へと引き寄せる。