「あの、三田君」


沈黙を破ったのはあたしだった。


「この前はごめんね、ってこのセリフ何回目だろうね。何度も、三田君に迷惑かけてばっかで」

『ほんと、何回目ですよ。でも、何回でも迷惑かけてくれたって構いません』

「え?」


何回このやり取りをしたのだろうか。あたしは何回目かもわからない謝罪をしたが、また三田君は優しい言葉をかけてくる。だが、今回はなんだか雰囲気が違った。


『先輩、もっと俺のこと頼りにしていいんですよ。俺は、そっちの方がうれしいから。先輩……俺、先輩が好きです。1人の女の子として』


暗い夜道で、三田君の表情はあまり見えてなかったが、真剣なのはわかった。