『ちっ』

「ちっ、じゃないわよ!ちょっと笑ったくらいで、調子乗るんだから!」

『本当は、その両手をこじ開けてでもキスしたいけど、今日は我慢する』

「何言ってんのよ!は、早く帰りなさいよ!じゃあね」


あたしはそういうと、龍の背中を押す。


『そんな強く押さなくたって帰るよ、雅ってば恥ずかしがり屋さん』

「うるさいわね!もう!」

『じゃあ、また明日な』



いつも通りの生活。

いつも通りの会話。

いつも通りの龍。


龍はだんだんとあたしから離れて、階段へ向かう。それを見つめるあたしの視線に気づいたのか、龍は振り返ってこっちに声を張り上げた。


『帰り道、転ぶなよ』

「転ばないわよ!」

『変なおじさんに襲われんなよ』

「ば、ばっかじゃないの!!」

『何かあったら、俺に連絡くれよ』