――放課後。


俺は帰宅しようと、教室を出て、昇降口へと向かう。その時だった。


『あの!!』


後ろから声がした。俺に向けてなのかは、わからなかったが、振り向くと、そこにいたのは三田とかいうあの1年だった。


「……三田、だっけ」

『あの、雅先輩と別れたって本当ですか』


”距離を置く”ってことが”別れ”と同じことだと認めたくなかった俺は、彼に返事をしなかった。


『先輩をこれ以上傷つけないでください。今まで、彼氏さんがいたから我慢してきたけど、俺、これからは本気出しますんで。それじゃあ、失礼します』



一方的に三田は、そう言って行ってしまった。



「なんだよ、それ。俺だって、……」



俺はポツリとつぶやいたのだった――。