「何よ!!何なのよ!」
『はッ!?いきなり?』
「何で…ここに」
『だーかーらー、忘れもんっつっただろーが』
龍は少し目を丸くしたが、すぐに自分の唇を指差し口角を緩く上げた。
あたしはこの表情が好きだ。この表情を見るだけで、心のどこかでホッと安心する。
あたしは、龍に向かってゆっくりと口を開く。
「龍は優しいわね」
『今頃かよ。俺はいつも優しいっての』
「ふふっ」
龍の余裕な態度に、思わず笑ってしまうあたし。
『雅、その顔反則…もっかいキスしていい?』
「なっ!ダメ!!」
龍の言葉にとっさに反応して、あたしは自分の口元を両手で覆った。


