◆◆◆◆◆◆


あれから、龍から何度も連絡があったが、あたしには出る勇気がなかった。それでも、龍は伝言を残すのだった。『ごめん』って、何度も謝っているのだった。


――ピンポーン


夏休みが終わるまであと1週間のころ、あたしの家のチャイムが鳴った。あたしは、ゆっくりと玄関へと向かう。


『雅』


ドアの向こうから聞こえてきたのは、電話の伝言と同じ声……龍の声だった。その声を聞いたあたしは、ドアを開けるのをためらう。


『雅、そのままでいいから聞いて』


龍はあたしの足音が聞こえたのか、話をつづけた。


『あの日は本当にごめん。前にも言ったけど、広佳とはただの幼馴染みで、それ以下でもそれ以上でもない。やましいことは何一つしてない。俺が好きなのは、雅だけだから。それだけはわかってほしい』


――ガチャッ


あたしは、扉を開ける。