――龍 side――



『はぁ……はぁ……』


俺は、広佳といた公園から、雅が降りてくるバス停まで走った。走っている途中で、雅が降りてきた姿を目にした俺は、さらに雅のもとへと近づく。


しかし、追いついた先で、雅は、俺じゃない男のもとで泣いていた。


『……雅』


静かに、誰にも聞こえないように、ぽつりと呟いた俺の声が、悲しそうに自分の耳に響いたのだった。