あたしはあのあと、すぐに帰りのバスに乗った。


――数分前まで、あんなに楽しかったのに、どうして今あたしは一人で帰ってるんだろうか。


彼女を目の前にしながら、幼馴染みのもとへと走っていく龍に、怒りの感情なんて出ないくらいだった。


あたしはバスを降り、自宅へと重たい足を動かしながら歩く。


今、龍が走ってあたしに会いに来てくれたら、あたしはきっと許すだろう。龍に泣きながら抱きしめて、離さないかもしれない。



「あ」



あたしは、目の前の彼の姿に声を漏らした。