俺が広佳の携帯に電話すると、呼び出し音が数回した後、少し涙ぐんだ声が、携帯の向こうからするのがわかった。どうして泣いているのか理由なんてわからない。それでも、大事な幼馴染みが泣いているんだ、”行かなきゃ”と思った。


◆◆◆◆◆◆


俺は自宅から少し距離のある公園へと向かった。


「やっぱり、ここにいた」

『……龍』


俺の目の前には、目を真っ赤に腫れさせながら泣いている広佳の姿があった。


「何か嫌なことがあったとき、昔っからここによく来てたよな」

『……覚えてたんだ』

「当たり前だろ。どうしたんだよ、突然」


俺はそう言って、ベンチに座っている広佳の隣に腰をかけた。


『ちょっと、ね』

「何、彼氏と喧嘩?前は、別れた、とか言ってたけど、あれぜってぇ嘘だろ」

『龍には、なんでもお見通しってわけね』