あたしの声と龍の声が重なる。
2人とも魚に夢中で、お互いの頭がゴツンとぶつかってしまったのだ。
「ふふっ」
『ふはっ、雅、石頭かよ』
久しぶりに龍と出かけて、しかも久しぶりの水族館で、気分がよかったあたしは、怒ることなくただ笑っていた。
◆◆◆◆◆◆
『あ、あのペンギンちいせぇ。雅みたい』
「なっ!うるさいわよ!」
ペンギンのところで、龍があたしに似て小さいペンギンがいるからと言って、指さしながら笑い始めた。あたしはムキになって、少し怒る。龍はそんなあたしを見て、手だけ謝るポーズをしながら、まだ笑い続けていた。


