◆◆◆◆◆◆ ――翌日 「よし、準備はできたし、忘れ物はない」 あたしは周りを指差しながら確認し、靴を履いて玄関の扉を開けた。 ――ガチャッ 『よっ』 そう言って、塀の影から顔と手を出しているのは、龍だった。 「うわ」 『うわっ、ってなんだよ』 「私服の龍、久々に見た」 『同じく。そんなこと言ってねぇで、行くぞ』 「あ、うん!」 ヒラッと差し出してきた龍の手を、あたしはすぐに握り、歩きだした。