『私は龍の幼馴染みでもあるけど、担任なの。教え子の進路くらい見届けたいし、露頭にさまよってもらいたくない。なんだったら、また家庭教師……あ』 広佳は言ったことを後悔したかのように、表情を曇らせた。お互いの頭に、また過去が映し出されているように感じた。 「……家庭教師、してくれんの?」 『……』 「んなもん、こっちから願い下げだよ」 俺は黙る広佳にそう告げて、その場を立ち去ろうとする。 『龍、待って!』 広佳に呼び止められ、俺は振り向かないまま立ち止る。