――そして、ついに夏休みがやってきた。



『……となって、この答えが出てくるんだけど、みんなわかった?』


夏休みというのに、あたしはというと、補習を受けていた。補習を受けているのは、あたしのほかにも数人いるが、みんなやる気がないように見える。もちろん、あたしの前の席の彼も、その中の1人だった。


『神城君、寝ないで、前向くー!』


数学の補習を担当しているのは、峰崎先生で、あたしの前で堂々と居眠りをしている龍に、大声で声をかける。そんな先生に、龍は重たい体を起こして言うのだった。


『夏休みに補習なんて、つまんねぇ!』

『だったら、最初から勉強しなさい』

『ちっ』


先生と少し言い合った龍は、また顔を下に向けるのだった。