『俺の声にも反応しないでさ』

「ほんとそれは自分でもびっくり。無意識だったかも」

『無意識って……遥翔、そんなに好きなのかよ。俺、ここ最近ずっと遥翔の目線の先見てたけど、いっつもあの人だったよな』

「はっ?!嘘っ?!蜜見てたの?!」


蜜の言葉に、思わず顔が熱くなり、恥ずかしくなった俺は、口元を手で覆った。


『見てたって言うか、お前いーっつもぼーっと物思いに耽ってるし』

「それは……」


蜜の言う通りで、否定できない俺。


確かに最近は、雅先輩とゆっくり話すことすらできなかった。だからか、心の中で寂しく感じていた。先輩が彼氏と仲直りしたのは、2人を見ていればわかることだったし、先輩が俺に関心がないことくらい自覚している。