――遥翔side


体育祭で雅先輩と同じ軍になれなくて、少しショックだった俺だったが、体育祭準備で駆け回る彼女の姿をいつも目で追っていた。


体育祭当日に、隣の白軍が借り物競争の時、少し騒いでたようで気にかかった俺は、そっちに目を移すと、たくさんの男子に囲まれ明らか困った状態の先輩を目にして、動かずにはいられなかった。


『おい、遥翔!どこ行くんだよ』


蜜に呼び止められたが、俺は蜜に言葉を返さずに、まっすぐと先輩の方へと向かって、いつのまにか手を引っ張って走り出していた。


彼女の手は思っていた以上に小さくて、柔らかかった。