「ちょっと重いわよ」

『あ、わりぃわりぃ』

「わざとでしょ」

『うん、わざと』


龍はそう言うと、あたしの肩に乗せていた鞄を下ろして、笑顔を向けてくる。


「龍、もう帰るの?」


あたしは龍に問いかけた。


『おう。今日は用事あって、雅と帰れないんだわ、ごめんな?』


少し寂しそうな表情をした龍。その表情と、言われた言葉に対して、あたしも少し寂しくなる。がしかし、やっぱりあまのじゃく。


「…別に龍と帰るなんて一言も言ってない!」

『嘘つけェ』

「…///」

『ほぉら、嘘つき』


そう言って、龍はあたしの少し熱くなった頬を指でつついた。


『明日は一緒に帰ろう?』

「…うん」

 
龍の顔は見ずに、下を見ながら返事をした。龍は、じゃあな、と一言言うと、教室を出て行った。

 
――今日は1人か