さっきはチョップをしたくせに、今度は頭をわしゃっと撫でてきた。その龍の行動に、少しムッときたあたしは、パッと龍の手を払いのけた。
「じゃあ、行ってくるね」
『いってらっしゃい、がんばれよ』
優しくそう言った彼に、笑顔を返したあたしは、借り物競争の招集場所へと移動した。
◆◆◆◆◆◆
『位置について、よーい――』
ピストルが鳴り、あたしはスタートダッシュをきり、すぐに借り物の書いてある紙を拾って開く。
「何よ、これ」
あたしは、紙に書いてある内容を見て、思わず口を開く。明らかに、物ではなく「人」が書いてあったのだ。


